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【中小企業の銀行対策】決算書の見え方は、立場によって様々だ

「決算書の見方」のようなビジネス本は少なからず売られていて、ビジネス本の範疇の中では、比較的よく読まれているジャンルで、一般的にも関心が高いカテゴリーだとわたくしは勝手に考えています。

本来、決算書は「一つだけ」です。

なぜなら、一個一個の仕訳(一つの取引を借方、貸方に分別されること)の正解は一つだけだからです。

正しい仕訳は一つだけで、正しい仕訳以外は誤りなわけです。

会計が厳密でなければならないというのは、そういう理由からです。

正しい一個一個の仕訳の謂わば「集合体」が決算書なわけですから、正しい決算書も一個だけ、ということになります。

 

ところが、現実にはそうは行きません。

一個一個の仕訳が発生ベースで正しくなされ、それの集合体としての正しい決算書でも、立場が変われば、その見方も変わるというのが現実です。

 

中小企業経営者としては、「経理がしっかりとやっていて、過去の税務調査でも目立った指摘を受けたこともないから、うちの決算書はパーフェクトだ」と言っても、特に、金融機関の審査部門はそうそう易々と「この決算書はパーフェクトだ」とは言いません。

金融機関の特に本部の審査部門は、調査役や審査役といった経営職(わかりやすく言えば支店長級)で占められている上に、金融機関によっては、建設業担当とか、飲食店担当とか、業種割で審査担当が置かれているケースが多いため、その業種ならではの決算書のクセを熟知していたりします。

在庫然り、特に、建設業ならば、未成工事支出金・未成工事受入金が適性に(言い方を変えると、納得感があるように)計上されているかを一種、経験値で見ているので、「この決算書、ちょっと盛ってるな」とか、「在庫、多過ぎやな」とか、「この前払費用がおかしい」とか、特に、PLよりはBSに重きを置いて、不自然な勘定科目が洗い出されます。

 

このように、多くの中小企業経営者は「うちの決算書はパーフェクトや」と胸を張るし、そもそも粉飾決算は犯罪なので、決算書はパーフェクトで当たり前なのですが、このように、立場によって、パーフェクトな「はず」の決算書であっても、立場が変われば見え方が変わるということを、中小企業経営者は認識しておく必要があるのです。