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【中小企業の銀行対策】無借金経営は健全なのか?

とある中小企業経営者が、さぞ自慢げに「うちの会社は無借金なんや!」とおっしゃいます。

一瞬、「無借金とは羨ましい」、「さぞ、健全経営でええですねえ」という風になりがちです。

確かに、借金をリスクと捉えるのであれば、無借金経営はある意味、健全経営と言えるのかもしれません。

 

しかしながら、一面、借金は会社の成長エンジンだということもできます。

株式非上場の成長期の中小企業は何かとお金が要ります。

中小企業は得意先との力関係から、「支払条件は手形、締後120日でよろしいですね」と言われれば、嫌とは言えません。

仕入先からも月末締め切りで、「翌月末までに現金、お振込でお願いします」と要請されれば、原材料の安定調達を最優先とする以上、「確実にお振込で決済させて頂きます」と購買部長は仕入先に頭を下げざるを得ません。

取引先との力関係上、売上の増加局面では、どうしても「増加運転資金」という名の借入金が必要です。

手形をもらったら、銀行で割り引いてもらう必要が出てきます。

成長曲面の中小企業は、回収サイトが長く、支払サイトが短くなるため、金融機関から運転資金を調達するのがごく自然です。

また、攻めに打って出る時には、まとまった設備投資が必要となることだって想定されます。

設備投資を行なって、十分なリターンが得られるとなれば、金融機関も「やりましょう!」と応援してくれます。

設備投資の効果やその規模に関しても、効果が不十分だったり、身の丈に合わない規模であれば、「社長、今回は控えておきましょう!」とブレーキをかけてくれたりします。

金融機関での融資の審査は、経営判断の可否を検証してくれるセカンドオピニオンのような存在でもあります。

更には、常日頃、特にメインバンクとコミュニケーションを取っていて、ビジネスモデルをメインバンク担当者と人間関係が築けていれば、昨年の新型コロナウイルス感染拡大時には、「社長、コロナ資金をうちで手当させてください。事業継続が第一です」とあうんの呼吸で、コロナ資金の調達もスムースです。

 

確かに、無借金経営は健全なのかもしれないけれど、見方を変えると、無借金経営は、現状維持、冒険はしないという保守的な経営スタンスです。

しかしながら、新興国との競合、未知なるウイルスとの闘いの克服など、現状維持を目指していては、縮小均衡の一途です。

 

折角、中小企業経営者という職業を得たからには、中小企業経営者は、成長を諦めた無借金のカチカチ経営ではなく、取れるリスクは取って、借金を成長エンジンに変えていくような覚悟を持つことがこのコロナ禍を生き抜いていく秘訣でもあるのです。