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【中小企業の銀行対策】必要な資金を短期で調達し、借り過ぎを防ぐ

無担保・無保証の民間・政府系のコロナ資金が世間の大半の中小企業が調達したことで、現在のところ、倒産件数が低水準で、コロナ禍でありながら、謂わば「凪の状態」が続いています。

倒産が少ないのは、決して悪いことではありませんが、倒産件数が少ないことだけを取り上げて、景気が安定しているとは言い難い、というのが中小企業の現場の感覚です。

 

ともあれ、コロナ資金の調達によって多くの中小企業の手元流動性が確保されたのは間違いなく、その結果、足元では、多くの中小企業が目先資金調達を急がずに済んでいます。

他方、長期資金は、返済期間が長期になっている(コロナ資金は、民間で10年間、政府系で15年間)ため、月次の返済額は一瞬少なく見えてしまいます。

「あれ、こんな返済額で済むのはありがたい」。

確かにそうなのですが、この感覚が「借り過ぎ」を助長している可能性が拭えません。

 

例えば、元請の建設業(地場ゼネコン)のような企業の場合、確かに、原材料費、労務費、外注費等の原価の支払が先行する一方で、完工後最終の工事代金の受領が1/3以上を占めるため、本来であれば、最終の工事代金を引当とした短期のつなぎ資金を調達し、工事代金振込当日、速やかに引当資金を返済するというのがセオリーです。

しかしながら、短期のつなぎ資金の場合、金融機関としても引当対象の入金かどうかを確認するなど、管理が面倒だということで、長期資金を放り込みがちです。

地場ゼネコンの立場としても、短期のつなぎ資金を調達するとなれば、受注状況表と資金繰り表を整合させ、金融機関の了承を得る必要がある一方で、長期資金を借入れることで、資金繰りの管理の手間が省けることに加えて、手元流動性は必要以上に潤沢になるため、地場ゼネコン経営者や財務担当者は、「これでしばらく資金調達する必要はない、一安心」となりがちです。

本来であれば、公共工事主体の地場ゼネコンであれば、公共工事の引き渡しが全て完了する6月から8月末であれば、短期のつなぎ資金を全て返済しているため、決算書上は「無借金」になっていなければなりません。

しかし、資金調達を安直な長期資金に依存してしまうと、本来「無借金」になるはずが長期借入金が期末に残ってしまいます。

結果として、資金調達を長期資金に依存してしまうことで、借入が必要以上に増えてしまうことにもなりかねません。

 

必要以上に借り過ぎない、必要外のキャッシュは持たないことで、総資産が圧縮され、資産効率が上がります。

そのためにも、より精度の高い資金繰り表の作成が必要不可欠です。

中小企業経営者は、必要な長期運転資金は長期資金で調達しつつ、適宜、必要な短期資金を調達することで、借入過多を防いでいく必要があるのです。