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【中小企業の銀行対策】決算月はいつベストか、再考してみよう

外資系企業は、本国親会社との連結決算の都合上、12月決算が多いようですが、我が国では、上場企業だけではなく、中小企業の多くが3月を決算月にしているケースが見受けられます。

規模の大きな会計事務所を顧問先にしている中小企業は、もしかすると、会計事務所が3月決算企業が多くて、税務申告が申告期限ギリギリになってしまうことがあるかもしれません。

会計事務所の都合だけではなく、特に、中小企業の場合、決算月をいつにするのかで、金融機関の評価が変わってくる可能性があります。

繁閑の少ない中小企業ならば影響はないのですが、季節要因で売上高が月単位で大きく変動する場合には注意が必要です。

例えば、公共工事をメインにしている総合建設業の場合、もしも1月や2月決算にしていたら、年度末工期の公共工事が絶賛施行中であるため、前受金の入金分が負債勘定の「未成工事受入金」として計上されます。同様に原材料費、外注費や現場経費は先行支出分が資産勘定の「未成工事支出金」として計上されるので、総資産がびっくりするくらい膨張してしまいます。

他方で、内部留保の蓄積である自己資本の金額は変わりないため、自己資本比率が大幅に低下してしまいます。

そのようなことにならないよう、中小総合建設業は、ほとんど6、7、8月を決算月にしています。

その頃には、年度末引き渡しの公共工事の精算が完全に終わって、総資産が必要以上に膨張せずに済み、自己資本比率を引き上げることが可能となります。

これは、金融機関の格付け対策として、極めて重要な観点です。

 

総合建設業だけではなく、繁閑の大きな業種、業態においては、「暇な時に決算をする」のが合理的です。

もちろん、決算月を変えるとなれば、変則決算となって、1年間に2回も決算をすることでその手間と会計事務所への報酬増という些細なコスト負担が生じます。

しかしながら、長い目で見れば、「暇な時に決算をする」という財務戦略上重要な効果が見込まれるのであれば、決算月の変更を躊躇する必要はないかもしれません。

 

決算月を暇なタイミングとすることでBSをより綺麗に見せられるのは、銀行対策だけではなく、身近に後継者がおらず、M&Aで株式譲渡を行う際にも、より高い譲渡価格を引き出す効果も見込まれます。

中小企業経営者は、自社の決算月が最も合理的なタイミングとなっているかを見極める機会を持つ必要があるのです。