今日は月末。
金融機関の店頭は普段より来店客が多く、ATMにも行列ができていたりします。
しかしながら、ネットバンキングの普及によって月末の金融機関店頭の混雑は以前と比較するとかなり緩和されているように感じられます。
特に、中小企業の経理実務の中でも、ネットバンキングは当たり前のように活用されていて、経理担当者が小口現金を出金しつつ、総合振込のため、預金窓口に並ぶといったようなことはなくなっていて、月末前日には総合振込の準備が完了していて、経理担当者も定時で上がれるようになっていたりします。
他方、特に金融機関での融資の実務はまだまだオンラインとは程遠い状況です。
融資実行時の金銭消費貸借契約証書には、会社のゴム印、実印、社長個人の実印、会社と社長個人の印鑑証明が応接室のテーブルに勢揃いとなります。
銀行員:「社長、会社の実印と銀行印は同じでしたっけ?」みたいな会話が当たり前に繰り広げられます。
また金融機関の一部では、渉外(外回り)の担当者でさえ外部メールのアカウントが割り当てられてなくて、「すみません、直近の試算表をファックスで頂けませんか」みたいなやりとりも日常茶飯事です。
なぜ、一部の金融機関を中心に世間で当たり前のデジタル化が進まないのでしょうか?
そもそも、お金の貸し借りは「金銭消費貸借」で、根拠法は民法の債権総則です。
民法は明治時代の雰囲気が色濃くて、「金銭消費貸借」がそもそもデジタル化を想定していません。
そして、最も大切な観点が「本人確認」です。
連帯保証人が、実印を以て、「ちゃんと会社の借入金を連帯して保証します」という連帯保証という概念からすると、デジタル化はなかなかなじみません。
いざ、会社が債務履行となった時、金融機関が連帯保証人に連帯保証債務の求償を行った際に、連帯保証人が「おれ、そんな連帯保証人になった覚えないし、払え言われても困りますがな」などという具合の保証否認が長年の歴史に中でなかったわけではありません。
きっちり、契約書に借入金の詳細について落とし込んで、「知らんとはいわせん」とばかりに、実印を押印するというのもごもっともと言えばごもっともです。
今後、銀行取引約定書や金銭消費貸借契約証書等の金融機関の契約書類が、個人の「電子証明書」等の活用によって紙からデジタルに移行していくことが期待されます。
金融機関の融資取引に於いて、デジタル化を推進していくためにも、金融機関役職員だけではなく、中小企業経営者自身もITリテラシーを弛まぬ努力で高めていく必要があるのです。
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