「社長、資金繰りを先読みしましょう!」
わたくしが折に触れて、お客様の中小企業経営者・小規模事業者事業主に申し上げていることです。
往々にして、中小企業経営者・小規模事業者事業主は、売上高には強い関心を持っていますが、発生ベースの損益や、現預金ベースの資金繰りには関心が薄いケースが散見されます。
確かに、取引金融機関の渉外担当者は、決算報告書を手にすると、いち早く損益計算書(P/L)を上から順番に見ているのが通常です。
売上高は前期と比較して増えたのか減ったのか、売上総利益率は上昇したのか下落したのか、営業・経常・当期の各損益でしっかり利益が出ているか、そしてその原因を明らかにしようとします。
他方、中小企業や小規模事業者の経理担当者にとって、収益と同等もしくはより重視するのが「資金繰り」です。
「資金繰り」と一言で言ってしまうと難解なイメージがあるかもしれませんが、「資金繰り」の最も単純なモデルが、かつての鮮魚店や八百屋の店頭で天井から吊り下げられていた「ザル」です。
お客様から現金を受け取ったら「ザル」に現金を投入します。
仕入に行ってキャッシュオンで支払をしようとすると、「ザル」の現金を持ち出さなければなりません。
店主は、一日の営業が終了して「ザル」の中の現金を数えた結果、「ザル」の現金が増えていれば、「今日はいい一日だった」なのであり、逆に「ザル」に現金が減っていれば、「今日は残念、明日ガンバロウ」というわけです。
つまりは売上と利益が増加しても、「ザル」の中の現金が増えているとは限らないというのが、「資金繰り」の本質です。
「資金繰り」を軽視してしまうと、P/L上は利益が出ているにも関わらず、資金ショートしてしまって、「黒字倒産」という事態にも発展しかねません。
中小企業経営者・小規模事業者事業主は、足下の売上と仕入、経費、金融機関への返済とを資金繰り表で検証してみる必要があります。
そして、「資金繰り表」をきつめに作成して、数ヶ月先に必要となる売上高を確定させ、資金繰りと収益をセットで見極めていく必要があるのです。
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