【中小企業の銀行対策】 中小企業が陥りがちな「折り返しのワナ」とは?

多くの中小企業が、信用保証協会の保証付きで、「長期運転資金」の融資を受けています。長期の返済期間は、短いと3年、多いのは5年、場合によっては7年、場合によっては10年の長期に渡ることがあります。返済期間は、業種やその会社の資金繰りの特性を見て、金融機関と信用保証協会が適切な返済期間を設定するのが普通です。
長期運転資金の借入金を考えるのに当たって、仮に返済期間が5年で、金額5,000万円、今月末平成25年5月31日に実行という条件でケーススタディしてみます。返済回数は60回なので、月次の元本返済金額は83万3,333円で、延滞無く順調に返済が進んでいけば、完済は平成30年4月30日、ということになります。
金融機関、特に外回りの渉外係(得意先係)は、それぞれに数字を持っているため、自分の数字はやり切ることが当たり前です。このため、渉外係は、返済期間中である長期の融資を、追加融資した資金で返済する形で、資金を売り込むことがままあります。上記のケースで場合で、平成28年5月の時点で同額で折り返すとなれば、融資実行額5,000万円で、当初の融資の残債2,000万円を一括返済するのが、「折り返し融資」です。資金を売り込む金融機関の渉外係にとっては、実質的な貸し増しは差引3,000万円となって、一安心という具合になるわけです。融資を受けた中小企業にとっても、月次の元本返済金額の83万円3,333円のままであるため、有利子負債が増加したという感覚が薄くなってしまいます。
ところが、折り返しを受けなければ完済時期が平成30年4月30日であったのにもかかわらず、折り返しを受けたことによって完済時期は平成33年4月30日にずれ込んでしまいます。知らず知らずのうちに、有利子負債が純増してしまっているわけです。このような金融機関からの要請を受けた形での折り返し融資を断続的に受けてしまうことこそが、過剰債務に陥る温床となりかねません。
中堅優良中小企業が、金融機関とのお付き合いの中で折り返しに応じるのは一定の合理性がないわけではありません。しかしながら、中小企業経営者は、折り返し融資こそが、有利子負債が増加する温床となりかねないことを念頭に置いておく必要があるのです。